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2005年11月04日 お茶の水女子大学講義(5回目) [大学講義(お茶の水女子大学)]

2005年11月04日  お茶の水女子大学講義(5回目)

11月4日(金) 晴れ

6時半、起床。

昨夜より少し良くなったとはいえ相変わらず痛む胃をさすりながら、昨夜できなかったレジュメの仕上げ作業(図版の貼り込み)。
せっかく早く起きたので、次回(11日が学園祭準備で休講なので18日の分)のレジュメも作成してしまうことにする。
原稿を手直しして、プリントアウト。
その後、図版を貼り込み、10時半に作業完了。

朝昼ご飯は、胃が痛いので柔らかなパンにバターとジャムを付けて少し食べただけ。

12時、仕事場へ。
メールチェック、サイトの巡回など。

13時、身支度。
着物は大好きな黄金色の黄八丈。
今シーズン初のお目見え。
シュッシュという絹擦れの音が心地よい。
長襦袢は、これもお気に入りの緑の地にかわいい簪模様。
帯は、錆朱に金彩。
半襟、帯揚、帯締は緑系で統一。

着物を着たら、なぜか胃痛が軽減した。

15時、家を出て、霞ヶ関駅経由でお茶大へ。
守衛さんが、私の姿を認めるなり、サッと手を帽子のツバにやり敬礼してくれた。
覚えてもらえたんだなぁ(← そりゃあ、そうだろう)と思うと、ちょっとうれしい。

いつものようにレジュメを印刷。
リソグラフのマスター交換に手間取る。
16時20分、出勤簿に押印のためジェンダー研究センターに寄ると、履修名簿が届いていた。
なんと101名!。
道理で86部レジュメを作っているのに足りなくなるはずだ。
しかも1年生がかなりいる。
1年生にこんな「ジェンダー特論」を聴かせてしまってよかったのだろうか?

16時40分、講義開始。
前回、途中で終わってしまった「トランスジェンダーと社会性」の内の、空間性(場)によるトランスジェンダー(異性装)のパターンの解説の続き。
(5)一般社会(Nonpass-TG=街中の女装者、学校・職場のTG)、(6)個室・閉鎖的な場(女装クラブでの女装、個人の部屋での女装)について図版を見ながら解説。

そして、日常空間(一般社会)を場とし、かつトランスジェンダー(異性装)であることが視認できるNonpass-TGこそが、トランスジェンダーとして最も高い社会性をもち、したがって、社会の性別に関する規制を最も強く受けること。
具体的には、性別二分システムが貫徹している場(男女別に設定されている専有空間。トイレ、 更衣室、公衆浴場)の利用に困難が生じること。
「街中の女装者」のヴィシビリティ(Visibility=目の前に存在すること)のインパクトは強烈で、男性でも女性でもない人間の存在は、個人の性別認識をゆさぶり、性自認のゆらぎを増幅すること(一般に女装者に対しては、男性は拒絶的、女性は親和的傾向が強く現れる)。
また、社会に対しては、男女二分制社会の矛盾と虚構性をあぶり出す「触媒」、男女二分的枠組みの震動装置として機能すること。
こうしたトランスジェンダー(異性装者)が生み出す社会的インパクト(「ゆらぎ」の増幅機能) を危険視する考え方は、古来から現代まで、為政者・権力者には根強く存在し、それが異性装者差別・弾圧の根本的な理由であること、などを述べる。

続いて、インドのヒジュラ(Hijra)、アメリカ・先住民社会のベルダーシュ(Berdashe)、インドネシア(南スラウェシ)のチャラバイ(Calabai)、メキシコ南部(フチタン)のムシェなど、世界各地の第三ジェンダー(Third Gender)の存在を、図版を参照しながら解説する。
そして、性別を越境する、あるいは男と女の中間的な文化要素を身につけて、特有の社会的役割を果たし ている人々は、世界各地に広く存在したこと。
こうした人々は、神・祭への奉仕者、神と人との仲介者、社会的弱者である女性の相談役、男女の仲介者(ジェンダーの緩衝装置)としての社会的機能をもっていたこと。
しかし、植民地支配による西欧キリスト教文明の浸透と、近代化によって第三ジェンダーは固有の社会的役割を失い、西欧近代文化の文脈に読み替えられて(ホモセクシュアル[ゲイ/レズビアン]と同一視)次第に本来の姿を失っていったこと。
第三ジェンダー(社会によっては第四ジェンダーまで)を設定する社会が世界各地に広 範に存在したことは、ジェンダーを単純に男女に二分する考えもまた、相対的な文化的所産であることを物語っていること、などを述べる。

ついでに、中国の相公(Xiang-Gong MTFのトランスジェンダーであるが去勢はしない)と宦官(去勢はするがジェンダー的には男性)を例に、ジェンダーの女性化と身体の去勢(男性器・生殖能力の除去)は必ずしも伴わないことを説明する(インドのヒジュラのように両者が伴うこともある)。

最後に、トランスジェンダーの職能について。
トランスジェンダーの職能は、(1)宗教的職能、(2)芸能的職能、(3)飲食接客的職能、(4)性的サービス的職能(セックス・ワーク)、(5)男女の仲介者的機能(ジェンダーの緩衝装置)の5つに大きく分けられることを具体例を挙げて解説。
その後、それらが歴史的にどのように展開したのか簡単な仮説を述べる。
そして、性別越境者たちは、これらの5つの職能を駆使して、困難な社会環境の中で偏見と差別に抗しながら必死に生をつないできた、と結んだ

最後、ちょっと急ぎ足になったが、これでいっぱいいっぱい。
結局、今日、配布したレジュメには入れなかった。

今日の授業後の質問。
「ヨーロッパでは、第3ジェンダーの事例はまったく報告されていないのですか?」
私の知る限り、明確な第3ジェンダーの事例は報告されていないと思う。
キリスト教化される以前のヨーロッパ世界には第3ジェンダー的なものがあったかもしれない。
それはおそらくシャーマニズム的なものと結び付いていたと思う。
しかし、キリスト教化後の長年にわたる異教的なものへの弾圧・抹殺の結果、痕跡すら認められなくなっているのかもしれない。

シャーマニズムに興味のある学生さん「シャーマニズムは北方ユーラシアで顕著にみられると思うが、例えばシベリアのシャーマンなどには第3ジェンダー的なものは観察されないのですか」
皆無ではないかもしれないが、はっきりした形は認められないように思う。
シベリアのシャーマンは、異装ではあっても異性装とは言えないのではないか。
いずれにしても、何かわかったら教えて欲しい。

講義終了後、慶応義塾大学から聴講に来てくれたM島さんと、茗荷谷駅上の「ジョナサン」に寄り、コーヒーを飲みながら、1時間半ほど卒業研究のアドバイスとおしゃべり。

帰路は池袋経由。
21時20分、学芸大学駅に戻る。
いつものパターンで、東口商店街の行きつけの居酒屋「一善」へ。
常連のお客さんとおしゃべりしながら、生ビールとウーロン茶を1杯ずつ。
肴は、かつおの刺身と肉豆腐。

23時、仕事場へ戻る。
朝が早かったのでかなり疲労。
お風呂に入る元気もなく、化粧だけ落としてベッドへ。
新聞を読んでいるうちに眠ってしまう。

就寝1時半ごろ(仕事場)。


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